制度をちゃんと知って利用すれば、絶対お得な節税法「ふるさと納税」。
ある程度収入があって税金支払っている人はやらないと損!
とまで言えるほど。
ただし、自分の寄附限度額を見積もる必要があるなど、日ごろ税金の計算になじみのない人にとってはハードルが高いことも事実。
ウサギマン
ラビ
ということで、比較的シンプルな想定ケースを使って、「ふるさと納税」のお得さを解説してみたいと思います。
今回は、20代の独身社会人を想定した「単身世帯年収400万円ケース」。
結論としては、本記事のケースでは、約42,000円が寄附額の上限となりました。
バニ
- ふるさと納税しないで、261,200円税金納めますか?
- ふるさと納税して、寄附と税で263,222円納めて、お米12kg、牛肉1.2kg、豚肉4kg、ホタテ1.6kgもらいますか?
後者がいいと思うなら、ふるさと納税は検討の価値あり。
では、はじめましょう。

この記事の目次
はじめに~想定ケース:27歳独身のウサギマンさん
さて、はじめに今回の想定ケースの条件を書きます。
想定ケースは、27歳独身の企業戦士ウサギマンさん(仮名)です。
ウサギマンさんの2020年についてみていきます。
ウサギマンさん
- 収入:給料で年収見込みは4,000,000
- 所得:給与所得で2,760,000
- 所得控除:(基礎控除)+(社会保険料控除600,000)
- 税金計算におけるその他の要素はなし
- 収入は、売上に該当する部分。一般的な会社員の収入の種類は:給与収入(つまり給料)です
- 所得は、利益に該当する部分。自営業の方などは収入から実際の経費を引いた額となりますが、収入の種類が給与の場合は、計算式にあてはめて所得(給与所得)が計算されます
- 所得控除は、税金計算の上で所得から差し引ける額で種類や金額は決まっています。今回は誰でもある基礎控除と、年金や健康保険料などの社会保険料控除(概算で年収の15%)を計上
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超簡単に!観点(ポイント)
ふるさと納税の効果を知るための観点(ポイント)は2つ。
- ふるさと納税は「所得税」と「住民税」に影響する!どう変わるのか!
- ふるさと納税で、いくら寄附すると、返礼品でなにがもらえるのか!
超シンプルに2つにまとめました、この観点からみていきましょう。
下図の所得税と住民税の請求時期のちがいも知っておいてください。
- 所得税:個人の収入に対してかかる税金。国に納める(国税)
- 住民税:個人の収入に対してかかる税金。地方に納める(地方税)。都道府県に納める分と市町村に納めるものの合算。「市県民税」「都区民税」という表現も同じもの
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ふるさと納税をしなかった場合
では、まずはウサギマンさんがふるさと納税をしなかった場合の「所得税」と「住民税」がいくらになるか、みていきます。
ふるさと納税しなかった場合の「所得税」
ふるさと納税しなかった場合、ウサギマンさんの所得税(復興特別税含む)は85,700円となります。
ウサギマンさん
- 収入:4,000,000
- 所得:2,760,000(収入から自動計算)
- 所得控除:1080,000(基礎控除48万+社会保険料控除60万)
- 課税標準額:1,680,000(千円未満切捨):266万-98万
- 税率:5%(課税標準額に応じて変動)
- 税額控除:0
- 所得税額:84,000:168万×0.05
- 復興特別税額:1,700(所得税額の2.1%:100円未満切捨):84,000×0.021
- 所得税額(復興特別税額含む):85,700円:84,000+1,700
ふるさと納税しなかった場合の「住民税」
ふるさと納税しなかった場合、ウサギマンさんの住民税は、175,500円となります。
ウサギマンさん
- 収入:4,000,000
- 所得:2,760,000(収入から自動計算)
- 所得控除:1030,000(基礎控除43万+社会保険料控除60万)
- 課税標準額:1,730,000(千円未満切捨):266万-93万
- 税率:10%(課税標準額に応じて変動なし)
- 税額控除:2,500(調整控除)
- 住民税所得割額:170,500:(173万×0.1)-2,500(百円未満切捨)
- 住民税均等割額:5,000
- 住民税額:175,500円:170,500+5,000
- 住民税は、都道府県民税分と市町村民税分にわけて計算し最後に足し合わせますが、今回は簡略化し最初からすべて合算した形で計算し表示しています
- 住民税の計算や金額は、自治体ごとの独自制度などにより異なる場合があります
ふるさと納税しなかった場合のまとめ
それでは、まとめます。
ふるさと納税をしなかった場合、ウサギマンさんは、
- 税金が261,200円(所得税85,700円+住民税175,500円)かかる
- ふるさと納税による寄附の支出はなし
- ふるさと納税の返礼品もなし
と、このようになります。
はたして、ふるさと納税によりこれがどう変わるのでしょうか?
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ふるさと納税の限度額計算
いよいよふるさと納税した場合の効果を…
と、いきたいところですが、その前に最重要作業!
今計算してみた結果から、さらに「ふるさと納税の限度額」を計算しなくてはいけません。
ウサギマンさん
ふるさと納税をしてその旨を確定申告すると、下の3つにわけて控除額が計算され所得税と住民税が減額されます。
しかし、控除額にはそれぞれ限度があり、寄附をしすぎて限度額を超えてしまうと、超えた分は税金が減額されず、寄附損になる可能性があります。
- 所得税から減額される額(所得控除)
(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率×1.021
注:寄附金額(ふるさと納税と他の寄附の合計)は、総所得金額等の40%が限度 - 住民税から減額される額①(税額控除)
(ふるさと納税額-2,000円)×0.1
注:寄附金額(ふるさと納税と他の寄附の合計)は、総所得金額等の30%が限度 - 住民税から減額される額②(税額控除)
(ふるさと納税額-2,000円)×(0.9-所得税の税率(※)×1.021)
注:住民税所得割額の20%が控除額の限度
(※)厳密には所得税率とほぼ同じの別数値
計算式が複雑でイヤになりますが、ここまでの計算でわかっているところに数字をあてはめてみましょう。
- 所得税の税率→5%:0.05
- 総所得金額等→2,760,000
- 住民税所得割額→170,500
- 所得税から減額される額(所得控除)
(ふるさと納税額-2,000円)×0.05×1.021
注:寄附金額(ふるさと納税と他の寄附の合計)は、1,104,000が限度(276万×0.4) - 住民税から減額される額①(税額控除)(ふるさと納税額-2,000円)×0.1
注:寄附金額(ふるさと納税と他の寄附の合計)は、828,000が限度(276万×0.3) - 住民税から減額される額②(税額控除)
(ふるさと納税額-2,000円)×(0.9-0.05×1.021)
注:34,100が控除額の限度となる
3つの計算の限度額がわかりました。
ふるさと納税額を入れて計算して、「3つとも限度に達しないギリギリのところ」がウサギマンさんのふるさと納税限度額となります。
計算式の内容からして、3の計算式が最も限度になりやすいので、計算式を変形して、答えがふるさと納税限度額になるようにすると…
- 34,100÷(0.9-0.05×1.021)+2,000=ふるさと納税額
となり、
- 34,100÷(0.9-0.05×1.021)+2,000=ふるさと納税額42,167円
3のふるさと納税限度額は42,167円と計算できます。
念のため、3つ全部の式にあてはめて、限度を超えないかチェックしてみましょう。
- 所得税から減額される額(所得控除)
(42,167円-2,000円)×0.05×1.021=2,050
注:1,104,000が限度(276万×0.4) - 住民税から減額される額①(税額控除)
(42,167円-2,000円)×0.1=4,017
注:828,000が限度(276万×0.3) - 住民税から減額される額②(税額控除)
(42,167円-2,000円)×(0.9-0.05×1.021)=34,100
注:34,100が限度
ウサギマンさん
このようにして、ふるさと納税限度額がわかります!
ウサギマンさん
という方も大丈夫w
WEB上には、ふるさと納税サイトなどが提供するふるさと納税限度額が計算できるシミュレーターがありますのでこれらを活用すれば比較的簡単に自身の限度額を一定の精度で知ることができます。
ただし、同じ情報を入力しても答えが微妙にちがうこともあります(突き詰めると本当に複雑な計算でもあるのです…)。
よって「シミュレーター+自分の計算」とで確かめたり、「シミュレーター+別シミュレーター」など複数の情報源から確かめることが大事です。
ラビ
ふるさと納税による寄附金控除は、2020年中の収入に対しては、2020年中に寄附しなければなりません
2020年中の収入等詳細は年末頃までハッキリしないわけで、ふるさと納税限度額もどうしてもある程度収入状況を見切りで見積もって計算→寄附しなければならないのが現実です
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賢くふるさと納税した場合
さぁ、いよいよふるさと納税をした場合の、ウサギマンさんをみていきます。
ふるさと納税セレクション(例)
さきほどの計算からウサギマンさんのふるさと納税限度額は42,167円でした。
実際には返礼品がもらえる寄附額はだいたい1,000円単位なので、ギリギリで42,000円分の寄附になろうと思います。
ややこしい計算はひとまず終えて、寄附先を探してみましょう。




たくさんの食べ物がもらえるおすすめ寄附先をまとめた弊記事(2020年11月更新時)を覗いたところ
- 寄附10,000円でお米12kg
- 寄附10,000円で牛肉1.2kg
- 寄附10,000円で豚肉4kg
- 寄附12,000円でホタテ1.6kg
計42,000円の寄附額で、お米12kg、牛肉1.2kg、豚肉4kg、ホタテ1.6kgがいただけそうな結果となりました!
ふるさと納税の寄附先や返礼品は、サイトや時期によって変わりますが、多くの自治体が魅力的な返礼品を用意くださっているので選ぶのが楽しいですよ。
掲載数の多さでは「ふるさとチョイス」に分がありますが、楽天ユーザーなら通常の買い物のように寄附額がポイント対象になる「楽天ふるさと納税」がお得でおすすめです。
参考|代表的なふるさと納税サイト
賢くふるさと納税した場合の「所得税」
さて、それでは賢く42,000円分ふるさと納税し、大量の食物を入手したウサギマンさんのふるさと納税後の税額を計算してみましょう。
ふるさと納税した場合、ウサギマンさんの所得税(復興特別税含む)は83,722円となります。
- 収入:4,000,000
- 所得:2,760,000(収入から自動計算)
- 所得控除:1120,000(基礎控除48万+社会保険料控除60万+寄附金控除4万)
- 課税標準額:1,640,000(千円未満切捨):276万-112万
- 税率:5%(課税標準額に応じて変動)
- 税額控除:0
- 所得税額:82,000:164万×0.05
- 復興特別税額:1,722(所得税額の2.1%):82,000×0.021
- 所得税額(復興特別税額含む):83,722円:82,000+1,722
所得税では、ふるさと納税分は所得控除の1つ寄付金控除として計上されます。
限度額内で収めれば、【寄附額-2,000】が控除額に。今回は40,000円。
- 所得税から減額される額(所得控除)
(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率×1.021
注:寄附金額(ふるさと納税と他の寄附の合計)は、総所得金額等の40%が限度 - 住民税から減額される額①(税額控除)
(ふるさと納税額-2,000円)×0.1
注:寄附金額(ふるさと納税と他の寄附の合計)は、総所得金額等の30%が限度 - 住民税から減額される額②(税額控除)
(ふるさと納税額-2,000円)×(0.9-所得税の税率(※)×1.021)
注:住民税所得割額の20%が控除額の限度
(※)厳密には所得税率とほぼ同じの別数値
所得税が給与天引き(源泉徴収)されている場合、「すでに天引きされた所得税」と「ふるさと納税の確定申告の結果の所得税額」とを比較し、過払い分が還付となります
還付の場合、税額の端数処理がされないため、端数分は還付が受けられません。
今回のケースだと復興特別税が1,722→1,700と処理されず、22円分が還付されません(くそゥ)。
賢くふるさと納税した場合の「住民税」
賢く42,000円分ふるさと納税した場合、ウサギマンさんの住民税は137,500円となります。
- 収入:4,000,000
- 所得:2,760,000(収入から自動計算)
- 所得控除:1030,000(基礎控除43万+社会保険料控除60万)
- 課税標準額:1,730,000(千円未満切捨):276万-103万
- 税率:10%(課税標準額に応じて変動なし)
- 税額控除:40,458(調整控除2,500+寄附金控除37,958(①4,000②33,958))
- 住民税所得割額:132,500:(173万×0.1)-40,458(百円未満切捨)
- 住民税均等割額:5,000
- 住民税額:137,500円:132,500+5,000
所得税では、ふるさと納税分は税額控除の1つ寄付金控除として計上されます。
基本分と特例分にわかれ、今回は下の計算です。
- 基本分:(42,000円-2,000円)×0.1=4,000
- 特例分:(42,000円-2,000円)×(0.9-0.05×1.021)=33,958
- 所得税から減額される額(所得控除)
(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率×1.021
注:寄附金額(ふるさと納税と他の寄附の合計)は、総所得金額等の40%が限度 - 住民税から減額される額①(税額控除)
(ふるさと納税額-2,000円)×0.1
注:寄附金額(ふるさと納税と他の寄附の合計)は、総所得金額等の30%が限度 - 住民税から減額される額②(税額控除)
(ふるさと納税額-2,000円)×(0.9-所得税の税率(※)×1.021)
注:住民税所得割額の20%が控除額の限度
(※)厳密には所得税率とほぼ同じの別数値
賢くふるさと納税した場合のまとめ
それでは、まとめます。
賢くふるさと納税した場合、ウサギマンさんは、
- 税金が221,222円(所得税83,722円+住民税137,500円)かかる
- ふるさと納税による寄附の支出は42,000円
- ふるさと納税の返礼品はお米12kg、牛肉1.2kg、豚肉4kg、ホタテ1.6kg
と、このようになります。
寄附金控除としてふるさと納税による税制上の恩恵を受けるには、原則確定申告をする必要があります。ふるさと納税だけすれば税金が減額されるわけではありません
※寄付先が5自治体以下の場合、確定申告をせず住民税からすべて減額されるワンストップ特例制度というものもあります(この場合も申請書を寄附自治体に送る必要あり)
ふるさと納税をしない場合との比較
では、ふるさと納税の効果を表で比較してみます。
項目 | ふるさと納税しない | ふるさと納税する | ふるさと納税効果 |
所得税 | 85,700円 | 83,722円 | 1,978円お得! |
住民税 | 175,500円 | 137,500円 | 38,000円お得! |
ふるさと納税支出 | 0 | 42,000円 | 42,000円損! |
もらえる返礼品 | なし | お米12kg 牛肉1.2kg 豚肉4kg ホタテ1.6kg | もらった商品分 お得! |
今回のウサギマンさんのケースでは、ふるさと納税をするとしない場合と比較して、金額計算できる部分では、ふるさと納税42,000円分の支出にたいし、所得税・住民税の減税効果は、39,978円となり、2,022円の損となりました。
そのかわり、お米12kg、牛肉1.2kg、豚肉4kg、ホタテ1.6kgという大量の返礼品をいただけそうです。
別の表現をすると、2,000円程度の負担でこれだけの大量商品を購入したことになります。
ウサギマンさん
限度額に届かない3万円をふるさと納税した場合
税金261,200円→233,234円へ減額(-27,966円)。
30,000円のふるさと納税支出に対して、約2,000円の自己負担。
→返礼品ももらえるため、損にはならない、ただもっと寄附してもよかった
限度額やや超え5万円をふるさと納税した場合
税金261,200円→219,913円へ減額(-41,287円)。
50,000円のふるさと納税支出に対して、約8,700円の自己負担。
→返礼品ももらえるため、おそらく損にはならないかな、ただお得度減少
限度額大幅超え10万円をふるさと納税した場合
税金261,200円→214,361円へ減額(-46,839円)。
100,000円のふるさと納税支出に対して、約53,100円の自己負担。
→返礼品の価値を踏まえても損な可能性大!
おわりに
以上、単身世帯年収400万円のふるさと納税効果を具体的にみてきました。
ご覧いただいたように年収400万あればかなりの返礼品をもらうことができます。
まだ、したことのない方も大丈夫!
限度額計算や、どんな返礼品がもらえそうかの皮算用をはじめてみてはいかがでしょう?
ウサギマンさん




参考|代表的なふるさと納税サイト
ふるさと納税制度の解説記事
