知っておきたい税金の知識。
今回は所得控除のひとつ「配偶者控除」について紹介します。
バニ
ウサギマン
一般にいわれていることも状況によっては不正解になる
ラビ
また、税制改正によって、2018年分の収入にかかる所得税・住民税から所得制限が加わって、ややこしくなってしまいました。
それでも、身近な制度だけに、
知っててよかった!
ということになる可能性も十分ありますよ!
この記事の目次
「配偶者控除」とは
配偶者控除(はいぐうしゃこうじょ)は、所得税・住民税を計算するうえでの所得控除の一つです。
配偶者が、控除対象配偶者(こうじょたいしょうはいぐうしゃ)の条件を満たしている場合に、申告し、適用を受けることができます。


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控除対象配偶者の条件
配偶者とは、
- 夫からみての妻
- 妻からみての夫
のことですが、配偶者控除の適用をうけるためには、配偶者であるだけでは十分ではありません。
配偶者控除の対象となる控除対象配偶者の条件は下のとおりです。
控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、次の四つの要件のすべてに当てはまる人です。
なお、平成30年分以後は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません。
(1) 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。
(2) 納税者と生計を一にしていること。
(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。国税庁HPより
国税庁HPをそのまま引用しちゃいましたが、4つの条件があり、
- その年の12月31日の現況
- 平成30年分以後はホニャララ
という気になる2つの+αがくっついています。
ラビ
1 民法の規定による配偶者であること
控除対象配偶者の条件の一つは、民法の規定による配偶者であること。
これはつまり結婚(婚姻)してなきゃダメ!ということです。
年内に入籍しなきゃダメ!
条件の中に、その年の12月31日の現況とありました。
婚姻のタイミングによって控除対象配偶者になれるかどうかが変わってしまいます。
年内に入籍しないと、その年の分の控除対象配偶者にはなれなくなります。
- 2018年12月31日が入籍日➔2018年分の申告で控除対象配偶者になりうる
- 2019年1月1日が入籍日➔2018年分の申告で控除対象配偶者になりえない
バニ
ウサギマン
「内縁の妻、夫」「事実婚」「同棲」「彼氏、彼女」ではダメ!
1つめの条件の裏を返すと、内縁関係や事実婚の状態では控除対象配偶者にはなれないということでもあります。
ラビ
結婚しないことの一つのデメリットであるかもしれません。
2 納税者と生計を一にしていること
2つめの条件は、納税者と生計を一にしていることです。
申告する人と、される人(控除対象配偶者)は同一生計でないとダメということで、これも、そりゃそうだ、と納得できるところですね。
夫婦は原則同一生計:単身赴任で居住が離れていてもOK
そもそも夫婦は通常、同一生計とみなされます。
また、生計は単純に居住場所だけで決まるものではありません。
よって、単身赴任などで一時的に夫婦の居住が別れていても、それが理由で配偶者控除の適用対象外となることはありません。
3 年間の合計所得金額が38万円以下であること
3つめの条件が一番有名ですね。
年間の合計所得金額が38万円以下であること
収入が、給料(給与収入)の場合、年間103万円で、合計所得38万円となるため、
合計所得38万以下
より
年収103万以下
の方が有名となり、「103万の壁」の名称で認知されています。
ただし、ごらんのとおり本当の基準は収入ではなく、合計所得であることを覚えておいたほうがよい場合もあります。
言葉の意味を簡単に整理しておきます。
所得税・住民税の計算の期間は暦年
この場合の年間も1月1日~12月31日の期間のことです
合計所得は、各種繰越控除の適用前の額です
- 土地建物売却で特別控除の適用を受けた場合
- 事業所得で繰越控除の適用を受けた場合
- 株・FXなど投資の繰越控除の適用を受けた場合
などは控除前の額での集計となりますので注意
ちなみに、所得の基準をオーバーして配偶者控除の対象外となった場合でも、合計所得123万以下(給料だと年収201万円くらい)までは、「配偶者特別控除」という別の所得控除の対象となります。

育児休業中は、控除対象配偶者になれるかも?
非課税所得は、合計所得の対象外
育児休業中に雇用保険から支給される育児休業給付金などは非課税所得といい、課税されない所得です。
非課税所得は、合計所得の対象とはなりません。
よって、たとえば、
2018年1~12月の期間ずっと育児休業中で収入は育児休業給付金のみ
こうした場合は、2018年分の申告において控除対象配偶者になりえます。
バニ
ウサギマン
5年分はさかのぼって確定申告できますよ!
ラビ
収入の集計期間は1~12月です
1~7月までは給料、8月から育休で育休手当
だった場合は、1~7月の給料がポイント
合計所得38万以上であれば、控除対象配偶者とはなりません
- 育児休業給付金
- 失業手当
- 傷病手当
- 遺族年金
- 障がい年金
- 生活保護
- 養育費
- 児童手当
などなど、、、
4 事業専従者でないこと
最後の条件は、いわゆるサラーマン夫婦に関係ないので、対象の方は多くないかもしれません。
事業専従者となっている配偶者は、控除対象配偶者とはならない、というものです。
事業専従者となっている場合、事業主側が
- 青色なら支払った給料を経費として
- 白色なら専従者控除として
一定の税制上のメリットを受けているはずなので、
ウサギマン
ということです。
青色事業専従者であって、年間の給与支払いがない場合は、配偶者控除OKです
事業主と事業専従者の関係が夫婦でない場合もダメ!
たとえば、夫はサラリーマン・妻は青色専従者として給与収入年間96万円。事業主は妻の父。
妻の収入は合計所得38万以下ですが、夫は配偶者控除の適用を受けることができるでしょうか?
答えは、No!
事業主が夫でなく、妻の父だとしても妻は、事業専従者。
夫の控除対象配偶者とはなりません。
バニ
さらに夫が配偶者控除で恩恵を受けることは、人はちがえど2重ってことね
事業専従者(妻)が事業主(夫)を控除対象配偶者にはできる!
たとえば、事業主の夫が赤字(マイナス所得)、妻は夫の青色専従者として給与収入年間240万円。
夫の収入は合計所得38万以下ですが、妻は夫を控除対象配偶者として、配偶者控除の適用を受けることができるでしょうか?
答えは、Yes!
バニ
ただ、社長(夫)を従業員(妻)が税制上の扶養にいれている形でなんだかなー
ラビ
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配偶者控除の控除額と2018年以降の所得制限
配偶者控除の対象となる条件を確認してきました。
次に控除額を確認します。
税制改正によって、2018年中の収入分から、申告者側の所得によって控除額が減額されたり、控除自体を受けることができなくなりました。
所得税の配偶者控除|2018年分以降
【所得税】の配偶者控除、控除額表|2018年分以降 | ||
控除を受ける申告者の 合計所得金額 | 控除額 | |
控除額(一般) | 控除額(老人) | |
900万円以下 | 38万 | 48万 |
900万円超 950万円以下 | 26万 | 32万 |
950万円超 1,000万円以下 | 13万 | 16万 |
1,000万円超 | なし | なし |
住民税の配偶者控除|2019年度(2018年分)以降
【住民税】の配偶者控除、控除額表|2019年度(2018年分)以降 | ||
控除を受ける申告者の 合計所得金額 | 控除額 | |
控除額(一般) | 控除額(老人) | |
900万円以下 | 33万 | 38万 |
900万円超 950万円以下 | 22万 | 26万 |
950万円超 1,000万円以下 | 11万 | 13万 |
1,000万円超 | なし | なし |
2018年以降の所得制限
控除額の表のとおり、2018年以降は配偶者控除に、申告者側の所得条件が加わりました。
- 合計所得額が900万を超えると、控除額が減り
- 合計所得額が1,000万を超えると、配偶者控除を受けることができなくなります
給与の年収に置き換えると、
- 合計所得額900万超は、年収1,120万円超
- 合計所得額1,000万超は、年収1,220万円超
となります。
ラビ
ってスタンスですねぇ、、、
老人配偶者控除
配偶者控除の控除額は、控除対象となる配偶者の年齢によってかわります。
対象となる配偶者が、12月31日現在の年齢が70歳以上の場合は、老人配偶者控除となり、控除額が上記表のとおり増額されます。
- 誕生日が1949年(昭和24年)1月1日以前➔老人配偶者控除
- 誕生日が1949年(昭和24年)1月2日以降➔一般配偶者控除
ウサギマン
12月31日⇔1月1日じゃないのー?
ラビ
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おわりに:配偶者控除は妻が申告したっていい
以上、配偶者控除について解説しました。
さいごに、配偶者控除は、夫が妻を申告するものと思っていませんでしたか?
配偶者は、夫からみての妻であるとともに、妻から見ての夫でもあります。
日本の現状として、収入があるのが夫・収入が少ないのが妻という夫婦が多いため、夫が申告するものとだけ認識している方がいるかもしれません。
しかし、これからますます夫婦の収入構造も多様化するはず。
仮に、妻が働き、夫が専業主夫の家庭であれば、妻が配偶者控除を申告してOKです。
夫が妻を申告する、だけの制度でないことも覚えておいてください。
ラビ
バニ
ウサギマン