知っておきたい税金の知識。
今回は、所得控除のひとつ医療費控除の特例「セルフメディケーション税制」について説明します。
セルフメディケーション税制は、特定の市販薬の購入費が医療費控除となる制度で、2017年から2021年までの5年間、医療費控除の特例として実施されている制度です。
従来の医療費控除では対象とならない場合でも、セルフメディケーション税制に該当すれば医療費控除が受けられますので、知っておきたい制度です。

この記事の目次
セルフメディケーション税制|医療費控除の特例
セルフメディケーション税制は、2017年から従来の所得税・住民税の医療費控除の特例として実施されている制度です。
自分と、同一生計の親族が支払ったスイッチOTC医薬品といわれる市販薬の年間(1~12月)購入費を対象に、従来の医療費控除よりも低いハードルで医療費控除の適用を受けることができます。
また、申告者は健康増進・疾病予防に対して一定の取組を行っていることが必要となります。
ウサギマン
この制度、表向きは、、、
表向きマン
裏側では、、、
裏側マン
市販薬の医療費控除作って、できるだけ病院にいかないで自分でなんとかさせたいZE!
ということなのでしょうね。
個人の意見です
ラビ
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セルフメディケーション税制の対象|スイッチOTC医薬品
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品は、「スイッチOTC医薬品」とよばれる医薬品です。
スイッチOTC医薬品とは、もともと医師の処方箋がないと購入できなかった医薬品(医療用医薬品)から、ドラッグストアなどで販売できる医薬品(OTC医薬品)に転用(スイッチ)された医薬品のことをいいます。
バニ
お店のカウンター越しで買えますよってこと!
具体的な対象となるスイッチOTC医薬品は厚生労働省のホームページ(下記リンク先)で確認がすることができます。
ラビ
バニ

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セルフメディケーション税制による医療費控除額計算
セルフメディケーション税制による医療費控除額は、対象となるスイッチOTC医薬品購入費の全額が控除額とならず、対象費用から所定の計算を行い、医療費控除額を算出します。
セルフメディケーション税制による医療費控除の控除上限額は88,000円で、所得税・住民税ともに控除額は同じです。
- 対象医薬品購入費-保険などで補填された額-12,000=医療費控除額
※控除額上限88,000円
バニ
単身世帯だと厳しいかもね
医療費控除計算シミュレーションツール・ソフト
対象品の購入費・保険などの補填額を入力して、セルフメディケーション税制の医療費控除額を計算できる簡易ツールを作ってみましたのでよろしければどうぞ。

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セルフメディケーション税制の適用を受けるには?➔要確定申告
セルフメディケーション税制は、会社の年末調整では申告できません。
よって、めんどうですが、自分で確定申告をして適用を受けることが必要です。
ラビ
セルフメディケーション税制申告の必要書類2種
セルフメディケーション税制の適用を受けるための確定申告では、申告に必要な書類が2つあります。
1|セルフメディケーション税制の明細書
一つ目の必要書類は、「セルフメディケーション税制の明細書」です。
国税庁の所定の様式で、申告者が作成し添付します。
明細書作成に使用した医薬品の領収書は、申告の際に添付する必要はありませんが、5年間は保管する必要があります。
2|一定の取組を行ったことを明らかにする書類
セルフメディケーション税制は、健康増進・疾病予防に対しての一定の取組を行っている人が対象となるため、申告者本人がその取り組みの根拠となる資料の添付もしくは提示が必要となります。
一定の取組を行ったことを明らかにする書類に該当するものは以下のとおりです。
- インフルエンザの予防接種や定期予防接種の領収証or予防接種済証
- 市区町村のがん検診の領収証or結果通知表
- 職場で受けた定期健康診断の結果通知表
※「定期健康診断」という名称か「勤務先名称」の記載が必要 - 特定健康診査の領収証or結果通知表
※「特定健康診査」という名称又は「保険者名」の記載が必要 - 人間ドックやがん検診を始めとする各種健診・検診の領収証or結果通知表
※「勤務先名称」又は「保険者名」の記載が必要
セルフメディケーション税制は、従来の医療費控除と併用できない
セルフメディケーション税制は、従来の医療費控除との併用はできません。
両方該当する場合には、従来の医療費控除にするか、セルフメディケーション税制による医療費控除にするかどちらかを選択する必要があります。
ラビ
セルフメディケーション税制と従来の医療費控除は、申告後に修正することもできません
申告後に「やっぱりもう一方の制度にしておいたほうが得だった!」とわかっても訂正はできませんので、選択できる場合は申告前に、しっかり決断しましょう
セルフメディケーション税制と従来医療費控除の両方に該当するような医療費の支払いがある場合&収入のある人が複数いる世帯であれば、例えば夫が従来医療費控除、妻がセルフメディケーション税制のようにわけて申告すれば、両取りすることができます。
バニ
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おわりに|セルフメディケーション税制は期間限定5年間
以上、医療費控除の特例「セルフメディケーション税制」について説明しました。
セルフメディケーション税制は、恒久的な制度でなく2017年~2021年中の5年間限定で実施される制度となっています。
従来の医療費控除と比較すると、対象となる費用が市販の医薬品だけと狭いですが、年間12,000円以上かかれば控除対象となるので、従来医療費控除より適用のハードルは低い制度です。
従来の医療費控除は、
対象医療費-保険等補填額-10万円(※)=医療費控除額(上限200万円)
(※)総所得金額等が200万円未満の場合は、総所得金額等の5%
単身世帯ではむずかしくとも、家族の人数が多ければ対象になることは十分考えられます。
知らなかったので、適用されなかったとならないようにしたい制度の一つです。
バニ
