日本は、誰もがなんらかの医療保険に加入しなければならない「皆保険」制度の国です。
国民が安定した医療サービスを受けられるこの制度が、国民の健康を確保し、平均寿命の上昇や、国としての発展に寄与してきたことは疑いのない事実であると思います。
が、しかし!
近年の日本は、高齢化と医療の高度化により、医療費が増加の一途をたどり、その医療費をまかなうための保険料もどんどん高額になっていっています。
自営業や定年退職後の年金暮らしの人などが加入者、というイメージの「国民健康保険(国保)」も転職の期間中などで一時的にでも加入するケースはあると思います。
国民健康保険には、退職した理由などによって、保険料が安くなる制度「非自発的失業軽減制度」があります。
条件を満たしていても手続きをしない限り安くはなりませんので、知っておきましょう!
この記事の目次
非自発的失業軽減(特例対象被保険者等)
リーマンショック後の大不況の中、平成22年度の保険料から制度化された国民健康保険料の減額制度が「非自発的失業軽減」です。
対象となる加入者は、法令上、「特例対象被保険者等」と記載されています。
バニ
ラビ
ウサギマン
スポンサーリンク
非自発的失業軽減の対象者
非自発的失業軽減の対象となるのは、雇用保険法に規定する「特定受給資格者」と「特定理由離職者」です。
難しい言葉が並びますが、要するに!
- 離職日に65歳未満
- ハローワークから「雇用保険受給資格者証」が発行されている(失業手当受給)
- 「雇用保険受給資格者証」の離職理由コードが「11・12・21・22・23・31・32・33・34」のいずれか
①~③のすべてを満たす人が「非自発的失業軽減」の対象者となります。
- 離職日に65歳以上は対象外
- 雇用保険未加入者(公務員など)は対象外
- 雇用保険加入でも加入期間が短いなど失業手当が受給できないと対象外
「特定受給資格者」の離職理由コードと離職理由
離職理由コード | 離職理由 |
11 | 解雇 |
12 | 天災等の理由により事業の継続が不可能になったことによる解雇 |
21 | 雇止め(雇用期間3年以上雇止め通知あり) |
22 | 雇止め(雇用期間3年以上の雇止め通知あり) |
31 | 事業主からの働きかけによる正当な理由のある自己都合退職 |
32 | 事業所移転等に伴う正当な理由のある自己都合退職 |
「特定理由離職者」の離職理由コードと離職理由
離職理由コード | 離職理由 |
23 | 期間満了(雇用期間3年未満更新明示なし:更新希望あり) |
33 | 正当な理由のある自己都合退職(被保険者期間12ヵ月以上) |
34 | 正当な理由のある自己都合退職(被保険者期間12カ月未満) |
バニ
ラビ
その他対象とならない離職理由コードと離職理由
- 正当な理由のない自己都合退職(離職コード:40・45)
- 労使同意の上での契約期間満了(離職コード24)
- 定年退職(離職コード25)
- 重責退職(離職コード:50・55)
などは対象となりません。
スポンサーリンク
非自発的失業軽減の内容
国民健康保険料は、4月から3月までの料金を、前年1月から12月の収入に基づいて計算されますが、非自発的失業軽減の対象となった場合、国民健康保険の計算の基となる前年の収入のうち対象者の給与所得を70%減額して保険料が計算されます。
ラビ
減額される所得は「給与所得」のみとなりますので、
前年の所得が「給与所得」でない場合、保険料減額効果はありません。
※ 保険外交員の方で、「事業所得」の場合など
給与所得以外の種類の所得がある場合、給与以外の所得は減額の対象になりません。
※ 副業で「不動産所得」がある場合など
スポンサーリンク
非自発的失業軽減の有効期間
非自発的失業軽減の有効期間は、「退職日の翌日の月から翌年度末まで」となります。
国民健康保険料(税)の計算は月割り。
退職のタイミングによって、最短13か月から最長24か月まで有効期間が異なります。
バニ
ラビ
ウサギマン
スポンサーリンク
非自発的失業軽減の届出
非自発的失業軽減の対象となっていても、手続きをしないと保険料は安くなりません。
「雇用保険受給資格者証」を持参の上、お住まいの市区町村の窓口で手続きをしましょう。
ラビ
おわりに
以上、国民健康保険料の軽減制度の一つを紹介しました。
対象となるようなら、保険料がかなり安くなる制度です。
退職後、
- 任意継続(勤務先保険の継続)にするか
- 国民健康保険にするか
を検討する材料の一つにもなるかもしれない制度です。
転職の可能性のある方などは頭の片隅においておいてもよいかと思います。
それでは。