ふぉろみーついった! 

平成30年度から国民健康保険運営が都道府県単位へ:保険料はどうなるの?

国保都道府県化のアイキャッチ

国民皆保険制度の砦といわれる国民健康保険制度ですが、高齢化や医療の高度化による医療費の増加によって、制度運営は非常に厳しいものとなっています。

その厳しさは、国民健康保険料の増加という形で、加入者に重くのしかかっています。

そうした状況を受けて、平成27年に法整備がされ、平成30年度から都道府県が国民健康保険の運営主体となるいわゆる「国保の都道府県単位化」がはじまりました。

加入者にとってなにより気になる保険料は、これによりどうなるのでしょうか。

国民健康保険料に焦点をあててこの制度改正をみていきましょう。

平成29年度までの国民健康保険:市町村ごとの運営

もともと国民健康保険の運営主体は市町村でした。

改正前:国民健康保険法
(保険者)

第三条 市町村及び特別区は、この法律の定めるところにより、国民健康保険を行うものとする。

バニ

「国民」って名称がついているのに運営は市町村だったのね

医療費をまかなうために加入者に対して保険料を課する制度となっていて、保険料の水準は各市町村ごとに異なっています。

保険料水準が決まるポイント

市町村ごとの保険料水準の決定要因は様々ですが、保険料が高い場合、代表的なものは下の3つになります。

  1. 医療費が高い
  2. 加入者の所得水準が低い
  3. 法定外繰入金がないor少ない

医療費が高い

市町村の国保加入者の年齢が相対的に高い市町村は、医療費が高くなるためその分保険料水準は高くなります。

ウサギマン

お年寄りの方が医療費かかるもんね

加入者の所得水準が低い

保険料は、前年の所得に応じて計算されるため、加入者の所得水準が低い市町村は、保険料率を上げないと必要な保険料収入を得られないため保険料水準は高くなります。

バニ

これよくわからないわ
超単純化して説明しよう!

加入者が1人しかいないA市とB市があって、A市の加入者の所得は300万円、B市の加入者の所得は200万円。
A市もB市も今年6万円の保険料が必要だとしたら、保険料の掛け率は何%にしたらよいでしょう?

ラビ

ウサギマン

A市は2%(6万÷300万)でB市は3%(6万÷200万)です!
正解!
加入者の所得が高いA市の保険料は2%でよいのに、そうでないB市は3%の率になってしまうんだ。B市はA市に比べて1%も掛け率が高くなる

ラビ

バニ

なるほどー

法定外繰入金がないor少ない

国民健康保険制度は、加入者の医療費を、加入者の保険料+補助金などで賄っていく制度です。

よって、一部の法令で定めれたもの以外は、加入してない市民の税金を保険料抑制等のために投入することはよいとされていません。

しかし、都市部をはじめとした比較的財政力のある市町村は、法で定められていない名目の税金(法定外繰入金)を国保会計に投入しています。

当然、その額が大きい市町村の保険料水準は低くなり、その額が少ない、もしくは、そもそもそんな余裕のない市町村の保険料は高くなります。

以上のポイントを整理すると、

  • 高齢化が進んでいて
  • 所得水準が高くない
  • 財政力の低い市町村

が特に厳しい状況で、いうまでもなくそうした市町村は地方の過疎部の多くが該当します。

少子化による加入者減少も

平成29年3月末時点で、加入者が最も多いのは神奈川県横浜市で782,199人。最も少ないのは東京都青ヶ島村でなんと53名となっています。

少子化により加入者規模が少なくなっていくと、運営が非常に不安定になります。

これも市町村での運営の課題となっていました。

バニ

50人くらいしかいないんじゃ、数人が大きな病気でもしたら医療費が一気に上がってしまうこともあるかもね
そしたら保険料も一気に上がるよ!

ラビ

平成30年度からの国民健康保険:都道府県と市町村の共同運営

このような諸課題への解決策の一つとして、平成30年度から、国民健康保険制度が都道府県単位での運営となりました。

改正後:国民健康保険法
(保険者)

第三条 都道府県は、当該都道府県内の市町村(特別区を含む。以下同じ。)とともに、この法律の定めるところにより、国民健康保険を行うものとする。

都道府県単位化といっても、都道府県がこれまでの市町村の役割をすべてとって変わるわけではなく、都道府県と各市町村が共同運営者となる形をとり、都道府県と市町村はそれぞれの役割を担うこととなりました。

都道府県の役割

平成30年度から都道府県は、国保の財政運営の責任主体となることになりました。

具体的には、管内市町村のデータをもとに都道府県内の医療費を推計し、それに基づき市町村から納付金を徴収します。

そして、市町村で必要になった医療費分を交付金として支払いをすることになりました。

市町村としては、都道府県から示された納付金さえ支払えば、仮にその年に医療費が大きく跳ね上がることがあっても、都道府県からその医療費分の交付金がもらえるため、安心できることになりました。

バニ

納付金というノルマさえこなせば、不確定な医療費上昇は都道府県が責任持ってなんとかするってことね

市町村の役割

財政運営の責任は都道府県に任せることになった市町村は、引き続き加入者の資格管理や保険料の計算や徴収、高額療養費などの保険サービスの窓口業務を担うこととなりました。

バニ

加入者がやりとりするのは引き続き市町村ってことね!

平成30年度からの国民健康保険料

では肝心の保険料はどうなるのでしょうか?

バニ

都道府県単位になって小さな市町村の運営が安定化したってのはわかるけど、保険料は厳しいままじゃない?医療費はこれからも増えるんでしょ?
鋭い!流石です

ラビ

追加公費投入

国民健康保険制度を将来に渡って持続可能なものとするため、都道府県単位化と同じタイミングで、国民健康保険制度に毎年3,400億円の公費が投入されることとなりました。

バニ

3,400億円!これで保険料安くなるかしら?
うーん、、、
この追加公費により保険料が低下するかどうかは、市町村の置かれた状況によっても異なります

ラビ

国はこの追加公費により、今まで一部市町村が行っている法定外繰入金を解消することも求めています。

よって、これまで法定外繰入金で保険料を抑制していた市町村は、新たな公費が入ってきた分、繰入金を減らして保険料を上げも下げもしない水準に落ち着かせることになる可能性が高いと思われます。

反対に、これまで、法定外繰入を行っていなかった市町村は、純粋に追加公費により保険料を減少させることができる可能性は十分にあるでしょう。

また、都道府県から請求される納付金自体が、市町村がこれまで独自に算定していた医療費推計とは別のロジックで算定されますので、それも原因となって、以前より負担が増える市町村と、軽くなる市町村は別れます。

統一保険料に向けて

バニ

っていうか都道府県単位になったんだからそもそも保険料も都道府県で統一すればいいじゃない!
ごもっとも!
都道府県単位化により、都道府県で統一保険料とすることも仕組みの上では可能となりました

ラビ

しかし、保険料を統一することにより、今まで保険料が高かった市町村は保険料が下がるかもしれませんが、今まで安かった市町村の保険料は統一により上昇する可能性が高いですから、都道府県内でも市町村の利害が対立しがちです。

他にも、保険料を統一するためには、クリアすべき課題がいくつもあり、平成30年度から保険料を完全に統一した都道府県はないようです。

  1. 市町村が独自で行っているサービスや保険料減免を統一すること
  2. 法定外繰入金で保険料を抑制している市町村は、それをやめること
  3. 保険料計算の方式のどれを採用するかを決定すること

などがその課題です。

課題1:市町村が独自で行っているサービスや保険料減免を統一すること

市町村によって、独自に健康増進サービスを行ったりしている場合、たいていその費用も保険料でまかなっています。

これをそのままにして保険料を統一すると、独自サービスを行っている市町村の費用を、それを行っていない市町村の加入者からまかなうことにつながりますので、このあたりは都道府県で同じ水準にそろえなくてはなりません。

課題2:法定外繰入金で保険料を抑制している市町村は、それをやめること

同じように、法定外繰入金を投入して保険料を抑えている市町村がある場合、それをそのままにして保険料を統一すると、自分の市町村の保険料を抑制するためのお金が、他の市町村の加入者の恩恵につながってしまいます。

それでは住民の理解を得られなくなってしまいますので、法定外繰入金もやめるか、投入水準を都道府県でそろえなければなりません。

課題3:保険料計算の方式のどれを採用するかを決定すること

保険料の計算のやり方は、法令によりいくつかのオプションがあり、どの方式を採用しているかは市町村によって異なります。

統一する場合はどの方式を採用するかを決定しなければなりません。

これまでと異なる方式となることで、保険料が上昇してしまう世帯もありますから、やはり簡単な議論とはならないでしょう。

ウサギマン

ハードル高いのね
そんな中でも大阪府や奈良県は、平成36年度完全統一料率という時期を定めてスタートしています

ラビ

都道府県のリーダーシップが問われているのよ!

バニ

おわりに

以上、国保の都道府県単位化でした。

都道府県単位化後も保険料については引き続き市町村ごとに決定していく流れとなりました。

追加で公費が投入されたものの、市町村がおかれた状況により必ずしも保険料減少につながるとは限らない模様です。

また、いくつかの都道府県では統一保険料に向けた具体的な歩みがはじまりましたが、それでも5年以上先のことです。

そうこうしている間にも、医療費は年々増加し続けています。

我々にできることは、まず元気で健康でいること!

一人ひとりの健康を意識した生活が、医療費抑制の明日につながっていることを信じて暮らしていくしかないのかもしれません。

最後はキレイにまとめてみました

ウサギマン