株式投資の売買方法の一つとして、株の値上がりによって利益を得る通常の手法とは逆に、株価が値下がりすることによって利益を得る「空売り(からうり)」と呼ばれる方法があります。
「空売り」は、株主優待を賢く取得する「優待クロス取引」を行うために必要な取引手法でもあります。

バニ
ラビ
ということで、優待クロス取引を行うにあたっても、「空売り」の仕組みと基本を理解しておきましょう。
この記事の目次
空売りの仕組み
「空売り」は、下記のステップで行われます。
- 取引銘柄の株を証券会社から借りる
- 借りた株を株式市場で売却する
- 株式市場で売却した株を買い戻す
- 証券会社へ株を返済する
これだけでは、よくわからないと思いますので、金額つきで解説します。
ステップ1 取引銘柄の株を証券会社から借りる
「空売り」は、取引銘柄の株を証券会社から借り受けることから始まります。
「空売り」は「買い」の逆ですから、まず「売る」から始めるのですが、当然手元に売り物(株)はありません。
そこでまず、売る株を証券会社からレンタルするという行程がはいります。
ラビ
証券会社マン
ステップ2 借りた株を証券市場で売却する
売り物の株を証券会社から借り受けたら、それをいよいよ株式市場で売却します。これがセカンドステップです。
売却価格は、その時市場でついている株価となります。
ラビ
ここまでが、新規で空売り注文(信用売り注文)をしたときに行われる行程となります。
実際に行うことは、空売り注文をだすだけなのですが、「株を借りる」→「それを市場で売却する」ということが行われています。
また、借りた株を売却したことで、一時的に売却金額が手元に入ったことにはなるのですが、この資金を自由に使えるわけではありません(証券会社の預け金となります)。
ステップ3 証券市場で売却した株を買い戻す
「空売り」をした後も、当然市場で株価は動きます。
「空売り」中は、証券会社から株を借りている状態ですから、いつかその株は返さなければなりません。
通常取引では、買った株を売却して損益が確定することと同じように、「空売り」も売った株を買い戻した時、損益が確定します。
値下がりした場合(利益がでるケース)
「空売り」後、株価が下がった場合は、証券会社へ返却するための株を安く購入することができます。
この差額が利益となります。
ラビ
空売りして手元にある10万円のうち8万円を使ってA社株を買い戻しだ!
8万で買い戻したA社株は証券会社へ返して、残りの2万は俺のもの!
バニ
値上がりした場合(損失がでるケース)
「空売り」後、株価が上がってしまった場合は、証券会社へ返却するための株を売却した金額よりも高い額で購入することになります。
この差額が損失額となります。
ラビ
バニ
ステップ4 証券会社へ株を返済する
最後に買い戻した株を証券会社へ返却します。
ラビ
証券会社マン
これで「空売り」による取引が終了です。
ステップ3と4は、実際には買い戻しの注文を行うことで、自動的に行われます。
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空売りの注意点:リスクなど
「空売り」はこれまで説明したとおり、通常の取引とは若干異なります。
そしてそれだけに「空売り」ならではのリスクも存在します。これらもしっかり把握した上で賢く利用しましょう。
損失無限リスク「買いは家まで売りは命まで」
株式投資の格言に「買いは家まで売りは命まで」というものが存在します。
これは「空売り」の怖さを表現した格言です。
考えてみれば簡単に分かることですが、
例えば、値上がりを期待して10万円で株を購入した場合、仮にその会社が倒産などして株価がゼロになったとしても損失は10万円です。
これが「空売り」ならどうでしょう。
値下がりを期待して10万円で「空売り」をした株が、とんでもない好業績をたたき出し株価が何十倍にも跳ね上がってしまったら、、、損失は10万円では済みません。
理屈の上ではありますが、損失が無限にふくらみうるのが「空売り」の恐ろしさです。
ラビ
手数料
「空売り」も株取引ですからその売買に手数料がかかります。
手数料は証券会社によって異なります。
「空売り」に限らずなるべく安い証券会社を利用するのがよいでしょう。
なお、「空売り」は信用取引の一種で、ほとんどの証券会社は信用取引とそれ以外の通常取引(現物取引)とで手数料が異なります。
返済期限
「空売り」は証券会社から株を借りて始まる取引でした。
借りた株式はいずれ返却しなければなりませんが、その返済までの期限が原則6か月間と決まっています。
意図に反して、損失がでてしまってもう少し買い戻しを待ちたくても6か月の期間が経過すると強制的に決済されてしまいます。
制度信用と一般信用
証券会社によっては、返済期限が無期限の信用取引が行えるところがあります。
返済期限6か月の信用取引を「制度信用」、無期限の信用取引を「一般信用」(無期限以外もありますが)といいます。
一般信用が可能な証券会社は、
- SBI証券
- カブドットコム証券
- 楽天証券
- GMOクリック証券
- 松井証券
- 岩井コスモ証券
- 大和証券
などがあります。
一般信用は、「優待クロス取引」の最大のリスクである「逆日歩」が発生しないため、「優待クロス取引」では積極的に活用したい制度です。
貸株料(かしかぶりょう)
貸株料は「空売り」にあたり証券会社から株を借りることに対して発生する料金です。
金額は年利〇〇%として計算され、長期間借りているほど貸株料は上がります。
貸株料率はやはり証券会社によって異なりますので、こちらも安いところを使いたいですね。
また、一般信用が行える証券会社では、制度信用と一般信用で貸株料率は異なり、通常一般信用の方が貸株料率は高めです。
逆日歩(ぎゃくひぶ)
逆日歩(ぎゃくひぶ)は、「空売り」の注文が殺到し、証券会社が投資家に貸すための株が不足した場合に、発生する手数料です。
通常は、逆日歩が発生する可能性は少ないのですが、「優待クロス取引」のように権利取得日など特定日に大量に「空売り」が発生する場合には逆日歩が発生しやすくなります。
また、逆日歩が発生した場合もその額がいくらとなるかを予測することは難しく、コストを抑え株主優待をゲットしたつもりが思わぬ高額逆日歩が発生し、結果として損をしてしまうこともあり、逆日歩は「優待クロス取引」の最大の敵といえます。
一般信用と逆日歩と優待クロス取引
一般信用で「空売り」を行う場合、なんとこの逆日歩が発生しません。
バニ
という意見が最ものように思えます。
しかしながら、一般信用は貸株料が通常より高いことや、「空売り」可能な株が限られており、証券会社に在庫がないと「空売り」ができず、人気銘柄は早いもの勝ちの争奪戦の様相を呈しています。
一般信用と制度信用、それぞれの特徴を理解して、をうまく組み合わせて使っていくことも必要です。
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おわりに
「空売り」の基本的な仕組みと、そのリスクなどを説明しました。
手数料はよいとしても返済期限・貸株料・逆日歩・損失無限リスクと少しやっかいな部分も多かったと思います。
「空売り」を単独で使って利益を上げていこうと思うとかなりリスクが高いですが、「優待クロス取引」では逆にリスクを抑えるために活用します。
そうであっても仕組みを理解しておくことは大切です。
しっかり、学んだら後は実践あるのみ!です。
ウサギマン